「ファドの無形文化遺産登録」。さてこれから何するの?-その2 [ファド 無形文化遺産]
その1の続きです。
ちょっと中途半端なところで終わってしまいました。
保護対策計画の内容でしたね。
***ここから訳文***
IV. 出版
以下の出版プログラムを遂行する:
IV.1. 歴史的なデータ (ファドの歴史に関する古典作品の複製出版物-分析や目録を含む);
IV.2.その他書籍(歴史に関する分析的なエッセイ、証言集、文献カタログ)、
音楽に関する情報 (複製印刷されている楽譜集と手書きによるファドの楽譜の写本);
IV.3. 詩に関する情報(ファド詩集);
IV.4.肖像画に関する情報(美術作品としてのファド肖像画集)
IV.5. 音源情報; ファドの歴史的なレコーディング(1900-1950年)についての解説書と
肖像画を掲載した充実した内容のブックレット付きのCDシリーズ,
IV.6. ドキュメンタリー/視聴覚l;
期限: (それぞれの段階で); 2012;年3月
責任母体: CML, EGEAC/ファド博物館
予算: € 200,000
V. ファド巡回ツアー
目標: リスボン市内で行う、ファドをテーマとする巡回ツアーを推進する。プロやアマチュアのファドが
実演される会場も巡り、それらの会場を世に広め、新しい息吹を吹き込む。
活動:
V.1.カザ・ド・ファドやクラブ-ファドという遺産が若い世代に日常的に引き継がれ、
昨今においても生きたファドのワークショップの場-で行われるイベントについて、
全国放送で流す、もしくは/また、広報宣伝を行う。;
V.2. テーマツアーをデジタル化または印刷して、配布・出版する。
V.3.街の有名なファド会場へのガイドツアーをスケジュール化する。
期限: (それぞれの実行段階において); 2012年7月
責任母体: CML, EGEAC/ファド博物館
予算: € 80,000
VI. 広報活動・作品リリース
活動:
VI.1.Trovas Antigas, Saudade Louca: ファドの歴史についての初めてのTV放送-ファドのジャンル別、
6つのエピソードによるシリーズ(2010年9月放送)
VI.2.ポルトガルの各県庁所在地における、様々な世代のアーティストによるコンサート/ワークショップ;
VI.3.大学、博物館、文化センター、財団、その他の場所で、詳細な文書をリリースする;
VI.4.ファドのプロジェクトを遂行する海外の研究者の来訪を促進する。
VI.5. カモンイス・インスティテュートの協力のもと、各国の大使館や大学の教職員ネットワークを
通じてファドを世界的に広める計画を策定する。;
期限: 2013年1月
責任母体: CML, EGEAC/ファド博物館
予算: € 150,000
c. 関連するコミュニティ、グループ、個人の関与
代表リストへの登録申請は、ファドコミュニティの活発なサポートと参加により、着想・推進された。
ここで提案されている保護対策を定義し実行する際に於いて、それらの関わりを確かなものとする
ために、幅広い範囲のワークショップ・セミナー・会議・議論・インタビューが、ファド博物館で行われた。
進行中のプロジェクトは、個人の参加者や近隣・市民団体の代表者たちが強く関わり、
さまざまな情報元・個々の肖像画・重要な作品・実演などの識別作業に参加した。
保護プログラムは、ファド博物館のコンサルタント委員会-コミュニティと2つの主要な団体の代表者から
承認された歌手・演奏家・コレクター・研究者が寄り集まったものだが-から重要な資料を受け取ったが、
ここで提案されている様々な対策に関しては、自身の知識を次世代に確実に伝えていくであろう
多くの個人のアーティストたちも深くかかわっている。別表が示すように、個人のミュージシャン、
作家、楽器製作者、専門団体、市民団体のサポート宣言が、登録申請と提案された保護対策計画
におけるファドコミュニティの貢献と活発な関与を証明している。
d. 国家の関与
リスボン市議会とポルトガル文化省は、ファドを無形文化遺産代表リストへの登録申請に対して、
大いに心血を注いできた。そしてこの数年行われているすべての以下のような保護対策が示すように、
引き続きそのジャンルを広く知らしめ、保護していくことに貢献している。:
-リスボンが1994年に欧州文化首都に制定された際の文化プログラムにおいて、展覧会、書籍、
レコードの編纂、コンサートなどを促進した。
・EUの財政支援(Programa Operacional da Cultura)のサポートを得たファド博物館の設立(1998)
と展示エリア順路の改装(2008);
・一般市民と学生を取り込んだ、地域に根付いた活動の推進;
・ファドコミュニティや一流のファド演奏者個人の強い協力を得ながら広い範囲にわたって
情報収集プロジェクトを遂行する調査チームに対する資金援助
別表が示すように、目下の登録申請は、リスボン市議会、ポルトガル文化省の一致団結した、
あらゆる政治の力によるサポートを受けた。また、国民議会において満場一致で可決され、
ポルトガル共和国の大統領閣下の強い支援を受けた。
3. コミュニティの参加とその登録申請プロセスにおける同意(基準R4参照)
a. コミュニティ、グループ、個人の登録申請プロセスへの参加
無形文化遺産代表リストへのファドの登録申請は、ファドが実演されているコミュニティの
活発な支援と参加によってなされた。提案された保護計画の準備は、広範囲にわたる
公開ワークショップ、会議、議論、インタビューを通して、また個人の有名な一流演奏家たちの
貢献を通して、コミュニティが活発に参加することによって遂行された。
2005年から進められている調査には、分野に属する人々(演奏家、作家、コミュニティのリーダー)
から集めた口頭証言の収集、関連する保存データの識別と目録化、歴史的データの批評解釈、
収集したすべてのデータを網羅したデータベースの作成等が含まれている。
調査チームには、年配の教授や大学院生だけでなく、ファドコミュニティそのものに集まった演奏者や
作家も含まれた。さまざまな、戦略的協力協定が、ファドの研究に関連するコレクションを所有する
公的機関・私人の間で結ばれた。最も代表的なこの分野の専門団体も含まれている。
登録申請は最終的に、有名な専門家たち(ルイ・ヴィエイラ・ネリ-議長、
Salwa El-Shawan Castelo-Branco – INET、サラ・ペレイラ-ファド博物館)が所属する科学評議会が、
一流のファド従事者たち(カルロス・ド・カルモ、ヴィンセント・ダ・カマラ、ジルベルト・グラシオ、
ダニエウ・ゴウヴェイラ、アントニオ・シャイーニョ、ルイーザ・アマーロ)がメンバーに名を連ねる
コンサルティング委員会、もしくは市民団体の代表者たち(ポルトガルギター・ファド研究会から
ルイス・ペネード、ファド愛好会からルイス・デ・カストロとジュリエッタ・エストレーラ)の熱心な
参与を得て、行った。
b. 登録申請に対する、無償・事前のインフォームド・コンセント(同意書)
別紙に示されているように、コミュニティはファドの登録申請を承認し、その保護対策への関与、
つまり提案された方法・活動に積極的に参加することを明示しこの芸術を維持、保護、研究し、
未来の世代へと伝え継ぐめざす。
別紙参照のこと。c. アクセスを管理する慣例の尊重
ファドは、本質的に、コミュニティ全体に開かれた、身近な形で行われている。
保護対策計画で目録、データベース、出版物が整備されることで、このジャンルの歴史や
現在行われていることについての情報に一般の人がさらにアクセスしやすくなるだろう。
***訳文終わり***
実際にお会いしたことがあったり、名前を知っている人たちが登場すると、
堅苦しい文書が、少し身近に感じられて、ホッとします。
次回は、残りの部分と、同意書を1つピックアップして訳してみます。
同意書は、 UNESCOの
Fado, urban popular song of Portugal
にある、"Consent of Communities" というリンクをクリックすると、
膨大なページ数のPDFをダウンロードすることができます。
誰か知ってる人のを見つけて、やってみます。
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