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「ファドの無形文化遺産登録」。さてこれから何するの?-その1 [ファド 無形文化遺産]

あまりにタイトルが長くてウザい、

って言われたわけではありません。

が、区別がつかないんで変えました。

さて、今回は、これからファドをどう保護していくか?の部分。

いちばん知りたい点です。

ファドが無形文化遺産に指定されたニュースを聞いたとき、

なんとなく「絶滅危惧種」という言葉を思い浮かべてしまった

嫌ぁ~な私でしたが、なんと!登録基準の中に

「消滅の危機」という項目があったのだわ!

そう、若い人がファドを職業としなくなってしまったら、

なくなってしまうのですよ。

そうならないように、いろいろ対策を考えて、それを世界に

知らしめるために、今回の登録への活動があったのだ、と

いうことが、分かってきました。

では、続きを...

***ここから訳文***

3.保護対策(基準R3参照)

a. その分野を保護するための最新の取り組み

現在保護対策を実施している中心は、ファド博物館である。

ファド博物館は1998年、リスボン市議会によって、歴史的地区である

アルファマ(ファドが実演されている中心的コミュニティのひとつ)の

近辺に創立された。博物館は、遺産としてのファドとポルトガルギターの維持、

保護、調査、実現と広報宣伝に全力を尽くしており、地元の街と深く交流

している。博物館の所有財産、特徴的なコレクション-レコード、

肖像画、楽器、その他の音楽工芸品等-はそのほとんどが、何百人もの歌手、

作曲家、詩人、演奏家、楽器職人、コレクターや専門家の、もしくは彼らの

家族や遺族、近隣の団体や草の根グループからの寄付によるものである。

2009年には、リスボン市と文化省から取得した5000ものファドの歴史的音源が

コレクションに加わった。博物館は、このジャンルのトップの人材を講師とする、

スクールでのワークショップや非公式な教育も用意している。

また資料センターやホールも完備しており、そこではコンサート、講演、

ワークショップ、ディベート、レコードや書籍の発売などのプログラムが、

一般の人々だけでなく街中の小学生や中学生にむけて熱心に行われている。

ファド歌手たちの、一般向けワークショップは、リスボンや地方各地の

いろんな地域の集会で行われている。毎年平均約35000人の訪問客が

これらのアクティビティに参加している。リスボン市議会は2004年から、

「フェスタ・ド・ファド」を助成している。これは毎年恒例の、町全体に向けての

大規模なパフォーミング・イベントである。また、海外での、特に大きな

ポルトガル語圏コミュニティのある町での、ファドの演奏を定期的にサポート

している。2007年上映のカルロス・サウラ監督の映画「ファド」を、

財政面でサポートした。この映画は世界各国で広く上映され、

この伝統音楽をさらに多くの人に知らしめた。 2005年から、

Instituto de Etnomusicologia文化人類学協会(Universidade Nova

 de Lisboa新リスボン大学)の協力を得て、主要なファド歌手、演奏家、

楽器製作者へのインタビューを含んださまざまなプロジェクトが実施された;

-あらゆる公私機関(図書館、公的なアーカイブ、音源アーカイブ、博物館、

 地域の団体、個人のコレクション等など)が所有しているファドの歴史にかかわる

 あらゆる種類の文献を集約し、ひとつのデータベースにまとめ上げること、

-過去の歴史的な情報源を、徹底的に調査し、再版し、じっくり解釈すること、

-ファドの歴史的遺品を保護するための適切な方法に関する、情報のガイドラインを広めること。

調査プロジェクトの中で、すでに進んでいるのは、国際的会議である

Fado, Percursos e Perspectivas, (2008)」の組織化と、膨大な数の

ファドとファド演者が登録されている「Enciclopédia da Música em

Portugal no Século XX’ (2010)」の出版と、誰でもアクセスできる

オンライン・データベース「Música Popular Portuguesa’ (2010)」の

設置である。また、博物館はポルトガル国営放送のRTPと共同で、

ファドの歴史をたどる6時間にもわたるドキュメンタリー「Trovas Antigas,

Saudade Louca (2007-09)」を制作したり、ファドに関する様々な出版物

-ルイ・ヴィエイラ・ネリの「Para uma História do Fado 」(2004年。

2007年イタリア語翻訳版。英語版・ポーランド語版は現在準備中)も含む-

のための肖像判定を行ったりしている。

 b.  提案された保護対策

リスボン市議会は、文化省のサポート、また関連するコミュニティの強い協力を得て、

長期的な保護対策計画を定めた。

以下に、2010年~13年における第一段階を記す:

I.  アーカイブ・ネットワーク

ファド研究関連するコレクションを保持する、博物館や所蔵を

広い範囲で包含する組織化された連携ネットワークを実現し、ファド遺産の保護、研究、

調査、達成のための戦略的な協力関係をめざす。

このネットワークには以下の機関が含まれる;ファド博物館、国立図書館、

RTP(ポルトガル国営テレビ)とRDP(ポルトガルのラジオ局)、Museu da Música(音楽博物館)、

Museu Nacional do Teatro(国立劇場博物館)、Museu Nacional de Etnologia(国立民族博物館)、

Museu José Malhoa(ジョゼ・マリョーア美術館)、Museu de Arte Popular(民芸博物館)、

Fundação Amália Rodrigues(アマリア・ロドリゲス生家博物館)、Cinemateca Portuguesa

(シネマティカ・ポルトゲーザ)、Museu da Cidade(市立博物館)、

Fonoteca Municipal de LisboaVoz do Operário Sociedade Portuguesa de Autores,

Sindicato dos Músicos;

期限: 201012

責任団体: リスボン市庁舎,ファド博物館EGEAC

予算: € 35,000

II. ファド・レコード盤のデジタルアーカイブ

目標:      さまざまな所蔵や博物館にある現存するレコード盤についての情報を収集し、

783345回転レコード盤のデジタルアーカイブを作成する

活動:      さまざまな団体に存在する、ファドの783345回転の塩化ビニール製レコード盤の

コレクション(新たに購入された5000種類の78回転レコードを含む)をデジタル化し、保管し

、データベースに登録しシステム化する。

期限: 201312

責任団体: リスボン市庁舎,ファド博物館EGEAC

予算: € 500,000

III. 教育プログラム

目標: すべての教育段階-第1学年(6歳)~第12学年(18歳)-において、

ファドの分野と歴史に関する情報を、段階的横断的に統合することを目指し、

それによって学術的・科学的視点と、ファドの知識とファド・コミュニティ

(歌手、演奏家、作家、楽器製作者)への真の参加を組み合わせる、「教育計画」を実践する。

活動:

 III.1. ファド博物館スクール: ポルトガルギター、ギターのワークショップ、ファドの詩についての

セミナー、ファドの歌唱ワークショップ。

III.2. ファド博物館ワークショップ: ファド・コミュニティ内の省察やディベートのための定期的な場を

作ることをめざす講演やワークショップ。

 III.3. 通訳と様々な世代のミュージシャンによる、ファド博物館歌唱ツアー。

 III.4. ポルトガルギターの製作:ポルトガルギターの製作をサポートし、そのノウハウが

保護され、伝わり続けることをめざす

III.4.1. ポルトガルギター製作者であるジルベルト・グラシオとオスカー・カルドーソによって

選考された訓練者に与えられる、1年間以上の奨学金

  III. 4.2.ファド博物館の近くにある、歴史的な地域であるアルファマに、ポルトガルギター製作場を作る。

  III.4.3. ポルトガルギター製作者(guitarreiros)の職人技のために期間限定の展覧会を開催する。

  III.5. 1学年~第12学年を通しての教育プランを制定する。

  III.5.1.教材の作成

  III.5.2.講師・教師の教育セミナー

 III.5.3.リスボンの学校機関における教育の試験的プロジェクトを実践し、それらを地方や国内レベルに複製する。

 III.5.4.教育的な役割を活発に演じるファドのコミュニティと強く結びつきながら、ファド博物館への

定期的な社会見学を促進する。

III. 6.リスボンおよび国内の、教育プログラムにファドが組み込まれている演劇学校をサポートする。

III.7. 卒業までもしくは卒業後の大学プログラムにおける、博物館での技術的科学的専門訓練と

アーカイブ調査実習

III. 8.国際ファド会議を組織し-隔年で開催-学問的な見解と、作家、翻訳者、詩人など

 このジャンルの創作と普及に従事している人々の知識を結びつける

 III.9. 地元の団体やクラブなどのネットワークを使ったファド・コミュニティ研修を行い、

ファドという遺産を維持していくよい方法に取り組むセミナーの開催を促進する。

 III.10. 様々な分野の研究者によるファドのカンファレンスを計画する。

期限: (進行しているあらゆる段階において実施中のプロジェクト;2010年・2011年の学年度に

教育計画を遂行。) 2012年1月

責任団体: リスボン市庁舎,ファド博物館EGEAC、複数の学校とのパートナーシップ

予算: € 250,000

***訳終わり***

第1段階ですよ、まだまだ。

もうちょっと続きます。その3くらいまであるかなぁ。

でも、学校でどんなふうに12年間のカリキュラムに取り込むのでしょうね。

ちょっと想像がつきません。

では今日はこの辺で。


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