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古典ファド(Fado Tradicional)の愉しみ #5 アマドールとしての愉しみ方 [古典ファドの愉しみ]

シリーズのタイトルを少し変えました。「古典ファド(Fado Tradicional)の愉しみ。

#1の冒頭で、古典ファドの原語はFado Tradicional もしくは Fado castiço とし、その前提で書き始めたので内容的にはなんら齟齬はないのですが、実際「古典ファド」という言葉は大辞林に載っているわけではなく14,5年前くらいに研究者たちが定義したもので、違う解釈でも使われているからです。違う解釈とは

古典ファド : Fado Classico※

つまりは古いファド、昔のファド、という意味でしょうか。あるいはスタンダード化しているファド。なので、Fado Tradicionalの形式ではない古い曲も古典ファドと呼んでいる場合は、Fado Classicoの意味で使われていると思われます。もし、古典ファド、という言葉を聞かれたときは、どちらの意味ですか?と確認してみるのもよいでしょう。「そんなのどっちでもいい」という人は、ホントにどっちでもいいですよね。でも、このブログを読んで、Fado Tradicionalって面白そう、意識して聴いてみたい!という方は、こだわってみてください(^^♪ 

※でもこのFado Classicoという言葉も定義があいまいで、Fado Classico=Fado Tradicionalとしている資料もあります。 → こちら(Portal do Fado ポルトガル(語)

さて、「こんな愉しみ方がしたい!」と思った私。2年前の夏、リスボンにて。

その年、初めて人前で古典ファドを歌いました。それから、徳島ファド会に寄せて頂いて、徳島ジャズストリートで歌い始めました。今年の冬で3度目になりました。

ギターのコードだけを頼りに、メロディを歌っていくのはド素人に取っては至難の業です。ただ、私の場合、今まであまり「楽譜を見て歌ったことがない」というのがよかったようです。元々フォークソング、カントリー、ロック に親しんで来ました。まあ、これらは「ギターコード音楽」です。それにしても、これらの音楽には「コピー」という言葉が存在します。音源を聞いて覚えてその通りに歌う作業。

ファドにはこの「コピー」という概念はなく、誰かの他の人の歌を歌っても「カバー」といいません。他人と同じように歌っても評価がされないからです。

でも、いきなり自在に歌えるわけもなく、原曲と全然違ってもなんかへんだし、ということでもちろん最初は音源を聞きます。もうひとつ私たち外国人には、「ポルトガル語」という障害があるわけだから、音節や発音の確認に音源は欠かせません。

で、次やることは、覚えたメロディを忘れること。あくまで私の場合ですが、とにかくアカペラで歌います。場所は一番いいのは人通りのない通勤道(笑)。歩きながら、がポイントです。公園で立ち止まってやってみましたが、やっぱり歩いたほうがリズムが取れていいみたい。

伴奏がないと、本当に好き勝手にメロディがでてきます。ただ、いざ伴奏がつくとこの自由さが失われてしまうのですね。あわせなきゃっていう緊張もあるし、実際あわせたらめちゃ音はずしたり。でも、このアカペラ練習がいちばん楽しいなぁ。 本番ではさらに自由度は落ちます。だって、音はずしたら恥ずかしいもの。でも、アマドール(アマチュア、愛好者)だからそれが許される!と思って出来うる限り、練習やリハと同じように歌わないようにします。

今までたくさん通勤途中で歌ってきた歌が、やっぱりいちばん自由に歌えます。歌詞に慣れることは最優先ですね。この年になると、覚えが悪くなってなかなか歌詞は覚えられません。でも、考えようによっては、ひとつ4行詩用の歌詞を覚えたら、歌えるファドは無数にあるってことです。(歌詞がメロディを引きずるので、正直難易度は高いですが。) 

リスボンでは、カザ・ド・ファドでも種類があって、「ファド・ヴァディオ」(Fado Vadio)というのが、来たお客さんがお店の人に歌いたい、と言って順番に歌える店です。ただしお客さんの中にプロもいます。「Fado Amador」というのは、お店の人(完全にアマドール)が歌う、という店もあります。ただ、最近は「Fado Profecional 」という、契約しているプロが歌う店でも、客が歌いたい、といえば歌わせてもらえるところもあります。

そして、アマドールたちはやっぱり古典ファドが好き。私と同じ理由ではないとは思いますが(笑)。 

今回の動画は、Fado Vadioの老舗で、今予約でいつもいっぱいの店「Tasca de Chico」の様子です(真っ暗ですが)。この方はポルトガル人ではないのかしら。それとも撮ったのが観光客?でも最近は海外からのチャレンジも多いみたいです。そんなところも素敵です。 






 

次は「古典ファド」の醍醐味あふれる動画。ずーっと同じ伴奏の手合いで、複数の人が自分の好きな歌詞(笑いが起きているのは歌詞がおもしろいのかな)で歌い繋いでいます。これもTasca do Chicoにて。








古典ファドを聴いてみたい、から、歌ってみたい!に変わってもらえたでしょうか...絶対、退屈なんてしません!歌うたびに発見があります。

次回このシリーズの最終回です。ずっと古典ファドのお話ばかりだったので、最後は番外編で「Fado Musicado」(歌謡ファド)について書きたいと思います。大好きなムジカードがたくさんあります。それもご紹介します。 







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